第12節 大分VS川崎

大分
GK    下川
DF 深谷 三木  福元
MF  高橋 藤田 マラ 根本
FW 山崎 セル

川崎
GK     川島
DF  箕輪 寺田 伊藤
MF 森 中村 谷口 黒津
    マギヌン 
FW ジュニーニョ 我那覇

試合前から晴れたり曇ったりで暑かったり寒かったりの変な天気。
今日はダンマクがない、フラッグもない、ゲーフラもない、そしてこの日は入場時に『アレ・オ・トリニータ』を自粛した初めての日。
九石は異様な空気に包まれていた。
高松は出場停止、章太は怪我と飛車角抜きの大分に対し、首位を伺う我那覇が戻った川崎と、
正直最低の勝ち点1を奪えば上出来の予想の中キックオフ。

試合内容はセルのアシストでアウグストが決め、前半終了間際に川崎ジュニーニョが退場。
後半開始前に勝ったときにしか歌わない『大分よりの使者』が歌われた。
これはおそらく祈りにも似た心境だったのだろうが、後半4分セルの初ゴールでスタジアム全体が再び揺れた。
2−0完勝。

オシムの言葉』の中で戦争体験が自身に影響を与えたことを認めつつも「言葉にする時は影響を受けてないといったほうがいいだろう・・」とのくだりを思い出した。
今来日中の日本サッカーの父と言われるクラマー氏が中条一男氏の取材ノートの中で、同じようなことを・・・http://www.vivasoccer.net/guest/chujo/note1.htm
「彼は非常に有能なコーチだ。よく勉強をしているし、外国語も上手だ。だが、一つだけ欠点がある。それは戦争を経験していないことだ」と語っている。
誤解を恐れずに書けば、死をも予感させる体験の必要性を両者とも説いているのだ。
幸か不幸か日本ではそんな体験をすることはないし、
上記二人の経験と比べれば小さなものかもしれない、
しかし彼らは戦っていた、逃げ出してしまいそうな大きなプレッシャーを感じる自分自身と。
試合後の深谷と福元の涙は修羅場を潜り抜けたものだけが流せる涙に感じた。
全員が普段以上のプレーをしたとシャムスカはコメントしたが、この試合で福元は本物に近づいた。
日本中が期待している大器が殻を破りかけている。